三和ストーリー 04
「見て覚えろ」から
「一緒に育つ」へ。
技術を個人のものから、
組織の財産へ。
製造部長
柴田 康博
SANWA'S STORY 04
挨拶から始まった改革
私が入社した約30年前(※2026年6月現在)の三和金属工業は、まさに昭和の職人気質が色濃く残る職場でした。
「技術は見て覚えろ」
「仕事は自分で取りに行け」
そんな空気が当たり前で、部署同士の交流もほとんどありませんでした。当時の製造部門は複数の部署に分かれていましたが、それぞれが独立し、情報も技術も共有されていませんでした。
そんな状況を変えようとしていたのが、当時の社長・現会長でした。
私はまだ平社員でしたが、「部署間の壁をなくすのを手伝ってほしい」と声をかけていただきました。
とはいえ、最初は本当に大変でした。他部署へ行って挨拶をしても返事が返ってこない。「おはようございます」と言っても無視される。それでも諦めずに交流を続けました。最初の3年ほどは反応がありませんでしたが、4〜5年経った頃から少しずつ会話が生まれ、「その加工どうやってるの?」と気軽に聞き合える関係ができてきました。
今振り返ると、この変化は三和金属工業にとって大きな転機だったと思います。
技術やノウハウの共有が進み、生産性も品質も大きく向上しました。
技術は個人の財産ではなく、会社の財産
現在は製造部長として、現場運営や人材育成を担当しています。
私たちの教育方針は、昔とは大きく変わりました。
「見て覚えろ」
「技術は盗め」
そういった考え方はありません。
今は手順書を整備し、基礎から丁寧に教えることを大切にしています。NC旋盤であれば、機械操作だけでなく、プログラム作成や三角関数といった基礎知識まで学んでもらいます。
この方針転換のきっかけは、実は当時新人として配属されてきた現専務からの提案でした。
「見て覚えさせるより、きちんと教えた方が成長が早い」
そう言われ、「一度やってみろ」と任せてみたところ、想像以上の成果が出たのです。そこから三和金属全体の教育方針も大きく変わりました。
私は、技術を個人の頭の中だけに留めてはいけないと思っています。
会社として成長し続けるためには、技術を見える形で残し、次の世代へ継承していかなければなりません。
個人の経験だけでは到達できないレベルへ。
組織として技術を積み上げていくことこそが、三和金属の強みになると考えています。
現場と経営が近いからこそ、変われた
私が30年近く(※2026年6月現在)三和金属で働いてきて感じる、この会社の大きな強みがあります。
それは、現場と経営の距離が近いことです。例えば、若手だった頃に取り組んだ部署間の壁をなくす活動も、現場だけで進めたわけではありません。当時の社長・現会長が問題意識を持ち、私たち現場の人間と一緒になって取り組んだからこそ実現できたことでした。
また、現在の教育方針もそうです。昔の三和金属には、「見て覚えろ」「技術は盗め」という文化がありました。しかし今では、手順書を整備し、基礎から丁寧に教えることを大切にしています。この変化も、現場から上がった提案を会社が受け止め、実際に試しながら形にしてきた結果です。
振り返ってみると、三和金属では現場の声が決して現場だけで終わりません。経営が耳を傾け、必要だと思えば一緒に考え、行動してくれる。だからこそ、技術の継承も、教育の仕組みづくりも、働く環境の改善も進んできたのだと思います。
もちろん、すべてがすぐに実現するわけではありません。しかし、「言っても無駄ではない」と思えることは、とても大切です。
現場だけでは変われない。経営だけでも変われない。
お互いが同じ方向を向き、それぞれの立場から知恵を出し合いながら前へ進んでいく。その積み重ねこそが、今の三和金属の強さなのだと思います。
人と機械、その両輪で難題に挑む
三和金属には、自社製品であるグリスニップル事業と、受託加工事業があります。特に受託加工では、営業部がお客様から持ち帰る案件の中に、他社では対応が難しい製品も少なくありません。そうした案件に応えるためには、優れた設備だけでは不十分です。どれだけ高性能な機械があっても、それを使いこなせる人がいなければ価値は生まれません。逆に、人だけいても設備がなければ限界があります。
私たちのモノづくりは、「人」と「機械」の両輪で成り立っています。
会社は設備投資を惜しまず行ってくれています。
だからこそ、これからさらに重要になるのは「人材育成」です。
技術を学び、成長し、それを次の世代へ繋げていく。
それが今の製造部に求められている役割だと思っています。
目指すのは、誰もが成長できる現場
三和金属は、昔に比べて働く環境も大きく変わりました。教育制度の整備、有給休暇の取得しやすさ、空調設備の充実など、働きやすい環境づくりにも力を入れています。
しかし、私が本当に大切だと思っているのは、「人が育つ環境」であることです。技術は一部の職人だけのものではありません。
学ぶ意欲があれば、誰でも成長できる。そして、その成長を会社全体で支えていく。
技術を個人のものにせず、組織の財産として残していくこと。
それが私の考える製造部の使命であり、これからも大切にしていきたい三和金属のモノづくりです。